運命だけを信じてる


そうなんです。
ランチすらいつも一人だった私に、水原さんは夜飲みに行く?と気さくに誘ってくれた先輩だ。


居酒屋で、愚痴なら遠慮なくどうぞ。口は堅い方だから。ーーそう言ってくれたんだ。


その時の嬉しい気持ちは一生、忘れない。



「だから休日返上でも全然余裕ですね!またご飯誘ってくれます?」


「そうね。最近残業続きで行けてなかったから、これ終わったら高級焼肉、奢るね」


「やった!」


顔を見合わせてガッツポーズ。
こんな時でも笑い合える。それが星崎課長率いる管理課だ。



営業部は冷たくて居心地の悪いところだった。けれどもし再び異動しろと言われることがあるなら、辞めるなんて言わない。


星崎課長や、逢瀬先輩、管理課の皆さんに教えてもらって覚えた仕事や、日常業務で積み重ねた経験。
以前のように小言を言われるのであれば、言い返すだけの自信を、今の私は蓄えることができているから。


少しは成長できたのかな。