情報部の男性社員がなにかブツブツと呟きながら、猛スピードでプログラムをタイプしていく。
「本当に申し訳ないのですが、有希ちゃん、」
「もちろんです!」
水原さんが言い終わらないうちにガッツポーズをして見せた。
昨日から平井さんが風邪でお休みをとっていて、その分の仕事を水原さんが担っていることも知っている。これからプレゼンの資料を作り直すのであれば絶対に時間が足りない。
「私で良ければ手伝わせてください!」
「ありがとう、ごめんなさいね」
「パソコンが壊れたのは水原さんのせいじゃありませんから、謝らないでください。私、平井さんの日次資料であれば以前作ったことがあるので手伝えます」
「頼んでいい?マニュアルは平井さんのデスクトップにあると思うわ」
「はい」
大丈夫。明日からはゴールデンウイークだ。どうせやることなんてないから、休日出勤になっても問題ない。
一度自身のデスクに戻ると、小牧さんと逢瀬先輩と目が合った。
「僕も手伝います」
予想通り小牧さんはそう言ってくれた。


