運命だけを信じてる


「小牧さんは一人暮らしですか?」


「……はい。大学までは親元に居ましたが、社会人になってからは自立したくて」


「お母様とは連絡とっていますか?」


この間、両親とは仲が悪いと言っていたけれど…。後、婚約者のこともどうなったのかな。



「とっていません。電話はくるけど無視してます。僕は男だし、それくらいの距離感がちょうど良いんです」


「そういうものかな…うちは両親と仲が良い方だから…」


「前山さん」


はい?
小牧さんが箸を置いたのでそれに倣う。



「両親に僕のことを紹介しても良いと思える日が来たら、言ってください。本当はすぐにでも行きたいですけど、あなたの許可がおりるまで待ちます」


両親に小牧さんを紹介?
今まで付き合った人とは結婚の話など全く出なかったから、両親に合わせたことも挨拶に行ったこともなかった。

この歳で彼氏のいない私を父は心配していたし、恐れ多くも小牧さんを紹介できるのであれば母もきっと安心するだろう。


「前山さんは僕と結婚する気はありますか?ほんの数パーセントでも」


ないーーとは答えにくいし、
正直、よく分からなかった。