雨色のてるてるぼーず

「ほんとは1年前もう5人後輩がいたんだよ。だけど色々きつく当たっちまってよーチーム全体のことを考えすぎて個人の気持ちなんか考えちゃいなかったってお前にこんな話しても迷惑なだけだよな」







中本先輩のことは今日初めて知ったけれどあった時から優しそうな印象を受けた。






きつく当たったと言ってもチームのことを考えた苦渋の決断だったのではないだろうか。






「先輩、本当はきつく当たりたくなかったんじゃないですか?」






先輩は驚いた顔をして寂しそうにうなづいた。






「やっぱり完璧って言われてるお前にはなんでも分かるのな。後輩はいくら説明しても時間通りに動かなかったんだよ。だけど俺はそれに対して厳しく怒りすぎてた。」







「そーだったんですね…だけど先輩、ちゃんとその事まで伝えられましたか?怒りに任せて言っちゃったとかじゃないですか?」






言い方が上から目線だなと思いながらもそう聞く。






「そーだなー。あの時は怒ってて何言ったか覚えてねーわ。気づいた時には後輩達がやってられねーよつって出ていっちまってたわ」