雨色のてるてるぼーず

「なーに笑いそうな顔してんだ。そんなに俺の顔が面白いかー?」






そう言って不満げな顔をする。






表情がコロコロ変わる人だ。






今は笑顔になっている先輩は人懐っこい印象を受ける。





「先輩の表現力がすごいなって思って。僕の名前は竹中陽です。高2-5です。よろしくお願いします」






「表現力すごいって褒められてる感じが全然しないな。俺の名前は中本圭。高3-1だ。よろしく」






そう言って手を差し出されたので慌ててこちらも手を出す。






「いやー俺後輩知ってるやつ少ないから知り合い出来て嬉しいわ」






「えっ、知ってる後輩少ないってことは…もしかして先輩部活入ってないんですか!?」





「いやー入ってるは入ってるんだけど…人数少なくてさ。部員5人なんだよ」





「あっ、それってもしかして…」





「そーだ。廃部危機と噂されているバトン部だ。」





バトン部は来年度の入部者が3人を超えないと廃部になってしまう。





「この3年間頑張ってせっかく同好会から部に昇格したんだけどな」





そう言って中本先輩は少し悲しそうに笑う。