果報者

斗とタクシーで病院に向かってる時、
1本の電話が俺に入った。



それは病院からで。



少し震えた先生の声がして





「ちょっと飛ばしてください!」




咄嗟に運転手さんに叫んでた。




内容までは伝えてもらえず
焦る気持ちと、
もしかして目を覚ましたんかって



脳死やって診断されてるのに
1ミリの期待を抱く。



勢いよく病室を開けた時、
部屋には先生と、ご両親、そして静哉がいた。



俺の1ミリの期待も虚しく
彼女はベッドで眠ったまま。



ドアの前、佇む斗の背中をそっと押し
一緒に部屋に入った。



ただならぬ空気が俺らを襲う中、
ご両親と静哉はもう聞いたのか
先生の後ろにそっと下がった。






「......あの、話って.......」