心に一滴の雫を。

元よりヴァンパイアは力も強く、私が振りほどけないはずはない。

通常は。

つまりこの人はー…。

「ごめん。喉が渇いたから、あとで助けてくれないか」

男の子は少し辛そうに耳元で低く囁くと私に一枚の紙切れを渡して講堂から去っていった。

紙切れに視線を落としてみると、『体育館裏』と書いてある。

そこに来い、という意味だろうか。

しかし今はとりあえず割り振られたクラスの教室へ行かなければならない。

疑問は棚上げにして、私は1-Aの教室に向かっていった。