何よ、ニヤニヤして。


嫌がらせにも程がある…。


「頬っぺだけでそんなに顔赤くしてさー、こっちにしたらどうなんの?」


クイッと顎を持ち上げて、あと数センチで触れてしまう距離まで唇を近づける蓮見くん。


「や、辞めて!!」


ドンッと私は蓮見くん突き飛ばして、その場を走り去った。


やだ…やだよ…。


ドキドキすんな、自分…!


「あ、志乃ちゃん!」


下駄箱を背にもたれかかっていた雛が、私が来るとパッと笑って駆け寄ってきた。