教室に入ると自分の席に着く。
「おはよう!千隼君!」元気よく挨拶をしてくる
彼女は三ツ木雛子(みつきひなこ)俺の前の席の女子だ。
「おはよう三ツ木。朝から元気だな」
何言ってるんだと「だって!もう少しで夏休みなんだよ!
これが楽しみじゃないわけあるか〜!」
まぁ確かにあと10日余りで夏休みなわけだが。
「いや三ツ木は補習だろ」ギクリと三ツ木は
「いやいや!確かに補習はあるけどたった1教科だし!」
私にしては大健闘と自慢げに三ツ木は言った。
「そうだよ〜雛子が補習1教科なんて奇跡だよ?」
俺の隣の席で三ツ木の友達、永峰飛美(ながみねあすみ)
が机にカバンを置きながら話に入る。
「だよね!飛美!私頑張ったよね!」三ツ木と永峰は
中学が同じだったようで仲が良い。この席になった時に聞いた話だ。
「雛子みたいなバカちんがよく補習1教科で済んだよね」
永峰はいわゆる毒舌家でよく三ツ木をからかっている。
「飛美ちゃん!補習1教科の雛子ちゃんがバカちんなら
補習5教科の俺は何?」ヘラヘラと顔に締まりのない
この男は三ツ木の隣の席の片寄春樹(かたよせはるき)だ。
「ゴミ」永峰の冷たい言葉は片寄にとっては逆効果。
「いいね!そのゴミを見ているような目でのゴミ!」
片寄はドMだとおもう。
「春樹、朝からキモいなぁ〜」三ツ木に馬鹿にされても片寄は「なになに!雛子ちゃんも俺を罵ってくれるの?」
片寄は喜ぶのだ。
このうるさい席になって2ヶ月。周りの奴らは
みんないい奴らだ。

あっという間に2時間目も終わり由奈が俺に
話しかけにきた。
「4時間目体育だから今はから購買に行こう」少し機嫌が悪いのか由奈はいつものニコニコ笑顔はなかった。
「おっ!豊島購買行くなら!カツサンド買ってきてよ」
「はいはーい!私も明太フランス!」
「プリン」片寄、三ツ木、永峰の順に注文をしてきた。
「お前ら自分で行けよなー」ったくこいつらは。
「いいじゃん由奈も持ってあげるから、みんなの分も
買ってこよう?ね?」と首を傾げながら俺の袖を掴む。
あざとい。由奈のあざとい攻撃に免疫がないやつだったら1発でやられてる。
「さすが由奈ちゃん!まさしく女神ー」と由奈を煽てる片寄。由奈は男の前だと大体こうだ。可愛いく優しく
か弱い女子を演じる。いや元々そうだったか。

どの学校も購買は大体戦争だろう。
無論俺の高校もだ。
「おばちゃん焼きそばパンとコーヒー牛乳!」
「おじさん!お釣り足りないよ〜」
購買をやっているおばあさんおじいさんは
忙しいそうに客をさばいいている。
「すごい人だね〜」由奈は困った顔で俺に話しかける。
由奈に行かせたら潰れそうだし俺が行くか。
「由奈は自販でジュース買ってきて。コーラと由奈はお茶でしょ?」由奈に金を渡す。
「うん、わかった!」と由奈は自販機のある方へ
歩いて行った。
さぁて戦いだ。俺のカレーパンとフィッシュバーガーは
いつも売れ残っている。だが、明太フランスとプリンは
中々入手するのが難しい。あの2人はそれを分かっていて俺に頼んだんだろう。