たくさんの恋の魔法(短編)

よし、今から返しに行こう。


今は朝の登校時間。


深沢くんはきっと、もう来ていると思う。



「あ、いた…」



案の定、深沢くんはいた。


私が声をかけるよりも先に深沢くんが気づいてくれた。



「何、町田さん、誰かに用事?」


「あ、えと、深沢くんに。ハンカチを返しに……」



そして紙袋ごと差し出す。



「ありがとうございました!)


「…もしかして、洗った?」