あなたのぬくもりの中で眠りたい

「マスター!もし宜しければ今日家に泊まりにいらっしゃいませんか?!」
いつもの放課後。いつもの帰り道。隣には君がいて、目をキラキラと輝かせながら颯斗がオレの方をじっと見つめ返事を待っていた。そんな君がとても可笑しくて可愛いなぁなんてガラにもなく思ってしまっていたりして断る理由もなくオレは二つ返事でOKした。
久々に入る彼の家は物が少なくほんとに同い年なのかななどと思わずにはいられないほど大人っぽい印象のインテリア。ソファーの前に大きなTVがありとりあえずそこに座りテキトーにTVをぼーっと眺めていた。暫くすると元気よく「お待たせしましたマスタ~!」と言いながら彼がたくさんのお菓子とジュースを持って部屋に入ってきた。それからたわいのない話をしたりして気付くと外はすっかり真っ暗になっていた。“夕飯どうしよっか?”とオレが聞くと待ってましたとばかりに颯斗は勢いよく立ち上がり『オレにお任せ下さい!』なんて言いながらキッチンへと消えていった。正直言って颯斗の料理センスはゼロだ。心配で仕方がなかったけど張り切る彼を見ていたらまぁいっか、という気になってしまった。いつだって君は一生懸命でそんな君にどうしようもなく惹かれて“あー、オレってはほんと颯斗大好きだよなぁ”なんて思い苦笑していると少し困った顔をしながら颯斗がキッチンから出てきた。片手には焦げてしまっているであろう黒い塊。「…スイマセンマスター…ハンバーグを作ろうと思ったんすけど…焦がしてしまいまして、…」今にも泣きそうになりながらそんなことを言う君にオレは思わず笑ってしまい「ハンバーグオレ好きなんだよね、颯斗ありがとう。早く食べよ?冷めちゃうじゃん。」そういうと君は笑顔になり「はい!」といい返事をしながらサラダを用意したりオレの飲み物がなくなったらすぐに用意してくれたりわたわたとオレの周りの世話をしていた。ご飯を食べお風呂から出てそろそろ寝ようと言ったら「ではマスター、こちらへどうぞ!」とオレを自然とベットに行かせ、流石に悪いと思いオレがソファで寝るよ!と言うと彼は慌てたように「滅相もありません!」と言いそんないい争いをずっと続けていき、眠気もそろそろ限界に近づいた時に彼は“…では……しょに……ますか?”と何やら照れたようにごにょごにょといいオレが聞き返すと今度は大きな声ではっきりと「では!一緒にベットで寝ましょう!」なんて満面の笑みで言ってくるものだからオレは思わずOKしてしまいベットへと入った。それを確認すると君もベットに“失礼します”なんて言いながら入ってきてあまりの近さにオレは思わず恥ずかしくなって「今日、誘ってくれてありがとう……大好きだよ、」と言い反対側を向き寝たふりをした。そうすると君はオレを強く抱き締めて「こちらこそ、ありがとうございます。これから先もずっと貴方のお側にいさせてください。愛しています、おやすみなさい、」なんて言うものだからオレは恥ずかしくなり“お、おやすみ!!”と言うと君はオレを優しく抱きしめなおした。背中から伝わる君のぬくもりがとても暖かくて恥ずかしいのに嬉しくて。これから先もずっと君と一緒にいたいなぁなんて考えながらも眠気には逆らえずそっと瞼を閉じた。