人気がない教室に入ると同時に私は壁際においやられ

ドン

と壁に向かって手をついたさとやに囲まれた。

「な、なに?」

明らかに怒ってるさとや。

「何じゃねーだろ?どうゆうことだ?」

「どうゆうことって…。」

「別れるって言っただろうが。」

だから、なんで怒ってるのよ。

さとやがわからないよ。

「言ったよ?」

「なんで、別れようなんて言うんだってきいてるんだ。」

「だって…。」

「だってなんだ?」

あんたに好きな人が出来たから。

喜んでくれると思ったのに。

思わず目の端から流れ落ちる涙。

「な!?」

涙に驚いたのか少し私とさとやの間に距離ができる。

でも、すぐに詰めてきて、グイっと抱き寄せられる。

そして

「きつく言って悪かった。泣かないでくれ。」

と背中を撫でられた。

私はそんな優しさと抱き締められたちょっとした幸福感でますます涙止まらなくなってしまった。