それから私は毎日光くんの教えてくれた
崖に行き、光くんと話したり、遊んだり
していた。
今日もいつも通りに崖に行くと
見慣れた光くんがいた。
「遅くなってごめんね」
「大丈夫だ。それより今日は果実を
採りに行こう。」
「果実?」
「ああ、いい所を見つけたんだ」
「分かった!行ってみよう」
そして、2人で森に入り話しながら進む。
「ねぇ、そういえば光くんって
兄弟いるの?」
「いや、1人っ子だ。」
「そっか。私と同じだね」
その時
「止まれ」
どこからか声が聞こえてきた。
すると、私達の目の前に一瞬で
人が降りてきた。
その人は私の幼馴染だった大神 湊真(おおがみそうま)だった。彼は青い瞳を持っていて
伊賀の一流忍だ。そして伊賀で最も強い
3人の忍の1人でもあった。
その瞳からはなんの感情も読み取れない。
湊真くんは私達にクナイを向けた。
「あいつ、伊賀の忍か?」
「うん、私の幼馴染」
「今はもう幼馴染じゃない。
任務対象だ」
その時、また人が一瞬で降りてきた。
「よっと、湊。何殺気だってんだよ」
「黙れ。遙。」
降りてきたのは湊真くんの双子の兄、遙真(はるま)くん、彼も私の幼馴染だった。
彼もまた一流の忍で湊真くんと互角の力を持っており伊賀で最も強い3人のうちの1人だ。そして赤い瞳を持っていて眠たそうにしている。2人は名前の最後の’真’が同じ
なので省略してお互い湊(そう)、遙(はる) と
呼んでいる。
「あいつも、伊賀の忍なのか?」
「うん、2人とも伊賀の忍で双子なの」
光くんは私を背に庇い警戒している。
「あー、抜け忍か。面倒だから湊に
任せるわー」
「ああ」
すると、森の奥から
女の子が出てきた。
「湊ちゃん、遙ちゃん。何してるの。
任務があるのに」
その子は田邊 葵(たなべ あおい)だった。
湊真くんと遙真くんの幼馴染でもあり、
私の幼馴染でもあった。湊真くんと遙真くん
と互角の力を持っていて
彼女も一流の忍で伊賀で最も強い3人の
うちの1人で伊賀の中でも1番の可愛さだったそして彼女の瞳は珍しく桃色と水色の
オッドアイだった。
そしてこの場に伊賀の最も強い忍の3人が
集まったのだ。
「葵、少し待っていてくれ」
葵ちゃんは私をチラリと見て状況を察っし
「分かった」
と言って頷いた。
「小鳥、あいつも伊賀の忍だよな」
「うん...」
そう光くんと話していると
「おい、お前どけ、その抜け忍に用がある」
「小鳥は俺の友達だ、どけないな」
「抜け忍の仲間?お前、何者だ?」
「そんなの、言うわけねーだろ」
すると葵ちゃんが
「櫻井 光....、甲賀の忍。」
「なんで..それを...」
「何ででしょう」
と言いながらくすくすと笑っていた。
「甲賀かー。そりゃ考え方が違うわけだ」
「そうか...」
「お前らには感情ってのがないのかよ」
「任務には感情は邪魔な物だ。
そんなものは要らない。
それに感情を持っていたとしても
お前達を可哀想などとは思わない」
「それが伊賀の任務の考え方か...」
その時、視線を感じ、見ると葵ちゃんが
感情を持たない瞳で私を見ていた。
その瞬間、葵ちゃんは一気に跳躍して
空中でクナイをとり私の所に降りてきた。
怖くて目を瞑り衝撃がくると
体を強ばらせた。が来なかった。
恐る恐る目を開けると私の後ろに返り血を
浴びた葵ちゃんがいて葵ちゃんの足元には
人が倒れていた。
「全く...甲賀の忍のくせに気配も
感じられなかったの?」
「なんだと....」
「完全に小鳥を狙ってた...。
伊賀の忍ではないのになぜ...」
「俺たち伊賀の忍 以外で抜け忍を
狙う奴がいるのかー?」
「さぁ、分からない。とにかく今は
生かしておいて様子を見た方がいいかも」
「そうだな」
「任務もあるしね。じゃあ、またね。
抜け忍さん」
と言って葵ちゃん達は音もたてずにどこかに行ってしまった。