空の漆黒の闇とは裏腹に
辺り一面に広がるのは真っ赤な炎。
地面には人が倒れていた。
(お父さん...!お父さん....!どこ...!?)
熱い炎の中を我慢して進むと父の姿が
見えた。
「お父さん!」
「小鳥!大丈夫か?怪我はないか?
とにかくここから出るぞ」
「うん..!」
昔、忍の修行で鍛えていたお陰ですぐに脱出
出来た。
私達の一族は伊賀の忍として生まれたが
忍を捨て普通に生活している。伊賀からすれば私達は抜け忍だ。基本抜け忍は追い忍に
捕まり罰を受けなければならない。
「ねぇ、お父さん。この炎...
まさか、伊賀の追い忍が...」
「ああ、そうかもしれないな」
「そんな...」
「それより、今は一族の皆が無事か
見に行くぞ」
「分かった」
沈んだ気持ちを吹き飛ばし父について行く。
「誰も居ないな...皆、避難したのか?」
すると遠くから声が聞こえた。
「おーい、小鳥ちゃーん」
ふと、声をした方を向くと小さい頃から遊んでいた椿ちゃんがいた。その後ろにも
一族の皆がいて手を降っている。
私とお父さんは急いで皆と合流した。
「小鳥ちゃん、大丈夫?怪我はない?」
「うん、大丈夫だよ」
「そっかー、よかったわ」
「ねぇ、これって伊賀なのかな」
「分からないわ」
その時、一族の長の族長が
「皆、よく聞け。こうやってグズグズして
いても何も始まらん。まずは火を消すぞ」
そうして、皆で近くの川から水をくみ
火を消した。
「ふぅ、結構焼けたわね」
「そうだね」
焼けてしまったが何とか生活出来るレベルだったので今夜は家で休むことになった。
「お父さん、大丈夫?しみる?」
家に帰ると私は父の手当てをした。
「大丈夫だよ」
「あっ、お薬なくなっちゃった。
明日、お薬買って来るね」
「ありがとう、気をつけてな」
「うん」