窓を開け見つめる景色は

ようやく覚えたいつもの

東京の空だった

けれど心はまるで

愛果と過ごしたあの日々の様に

暖かい気持ちで溢れていた

ここに彼女がいてくれたら

その切ない気持ちを曲にするなら

どんな音のどんなメロディーがいいだろう

透明な感じのメロディーがいい

彼女を心地よくさせるように

優しく彼女を包み込むような

大きな曲

愛果の頬を染める夕陽を

二人で見つめた

あの土手の夕陽

去りゆく一日が切なくて

彼女の手をそっと包み込むように

握りしめたあの日

彼女の手の温もりが嬉しくて

愛しくて

俺はその手を離さない様に

強く握ったあの日

ずっとこのまま彼女の手を握っていたい

そう思った

言葉にしたら陳腐になって

きっとあの日の魔法も覚めてしまう

けれど

音楽なら

その一瞬を

永遠に

美しく残すことができるのだ

俺は大きく息を吸い込み

その作業に取り掛かった