「きれい。」

ハルはコスモスの花壇の前に立ち止まった

「これだよ、愛果にみせたかったの。」

そう言ってハルが私の顔を見た

そう言われて私はまたコスモスを見つめた

「時々ここで昼にお弁当を食べるんだ。」

わたしはそっかと返事をした

「愛果にはこのピンクが似合うと思う。」

そう言ってハルは笑顔で私を見つめた

「いつも一人でここでお弁当を食べるんだけど

毎年この時期になるとこのコスモスが咲くんだ

初めて見た時、どうしても愛果に見せたくて

それで今回この時期に東京でライブして

愛果を誘おうって決めていたんだ。」

私はその言葉がとても嬉しかった

それなのに言葉にならなかった

言葉にしたら全部嘘っぽくなってしまいそうで

ありがとうの代わりに

ハルの手をギュッと握りしめた

「愛果来てくれてありがとう

ほんとはずっと会いたかったんだ。」

ハルはそう言って私の手を握り返した

本当は私が言わなくちゃいけないのに

呼んでくれてありがとうと

わたしはハルの顔をみた

そこには私の大好きなハルの

あの優しい笑顔があった

私はハルにぴったり寄り添い

彼の耳元に口を近づけた

そして今度こそ

「ハル呼んでくれてありがとう。」

そう彼の耳元で囁いた

そしてその言葉に嬉しそうな笑顔を見せてくれた

ハルの頬にそっと唇を押し当てたのだった