「ご、………ごめん」
「何に謝ってるの?
てかなに、その顔」
ハッ、て強く息を吐いた三坂くん。
笑ってるのに
声が冷たい。
「………」
「山田さー、
やっぱ聞いてたでしょ 俺の話」
「え?」
「昨日、放課後。
誰かいるなーって思ってたけど
その反応、違う?」
まさか、
当の本人からその話が出るなんて。
なんて答えるのが正解?
どうしたら彼を少しでも嫌な気分にしないであげられるのだろうか。
分からないし、とにかく怖い。
早く腕を離して欲しい。
「……ちがい、ます」
三坂くんが
私を見ている。
でも多分、私の目はほとんど彼から見えてない。
貞子みたいな前髪が、
私と他人との壁を作っているから。
「…そ。
まあいいんだけど、これ」
「え」
「財布。山田の机に置きっぱだった。
盗まれたりしたらいけねぇと思って俺が持って帰った」
「あ…」
三坂くんの手にあったのは、確かに私が昨日忘れた、黒のおんぼろ財布。
私は恐る恐る受け取った。


