翌日。

学校に向かう為、家を出ると

そこには笑顔のまーくんが手を振って待っていた


「一緒に行こうと思って待ってた。」

優しいまーくんの笑顔に嬉しくなる。

「うん。ありがと。」

バス停でバスを待つ。

いつもは長く感じる時間も
まーくんと話しているとあっという間に感じる。

バスに乗り込むと
同じ学校の生徒もちらほら乗っていた。

『やばい。

今から2人でバスに乗るってことだよね?

隣に座るってことだよね?』

また周りの人の目が気になって
焦ってしまう。

記憶が戻っても私は昨日までの自分とちっとも変わっていない…。

バスの一番後ろの席の
まーくんは窓際の席に
私はその隣の席に座った。

「ねぇ!あの2人って付き合ってるの!?」

「一緒に登校してるよね?」

女子生徒のヒソヒソした話し声が聞こえる。

『どうしよう…。』

青ざめている私を見たまーくんは呆れながら

「まぁ、すぐバレると思うけど…。」

そう小声で呟くと。

ポケットからイヤホンを取り出して
窓の外を見ながら音楽を聴き始める。

まるで私とは他人同士みたいに。

「なんだ付き合ってないんじゃない?

たまたま隣に座ってるだけだよ。」

「田島くんと白石さんが付き合ってるわけないよね。」

女子生徒たちはつまらなそうにしていたが
また次の話題で盛り上がっていた。

『よかったぁ…。』

安心した瞬間。

右手にまーくんの左手が触れる。

まーくんは窓の外を眺めながら
私の手を握る。

そのまま2人で手を繋いだ。

もうただのクラスメイトじゃないんだ。
隣に居ていいんだよね?

ゆっくりと繋いだ手を握り返した。