「行かないでいいんじゃない?」

美咲はそう言うが。

「そういう訳にもいかないよ。

すぐ断ってくるから少しだけ待ってて。」

教室に鞄を置いて美咲に待っててもらう。

「ちゃんと言うんだよ。

私には好きな人がいるから付き合えないって。」

美咲が念を押して言う。

「わかってるよ。

初恋の人が忘れられないって

ちゃんと伝える。

‥もし戻って来なかったら

駐輪場のところ来て!」

そう美咲にお願いして私は駐輪場へと向かう。

「はぁ、本当鈍感なんだから…」

呆れる美咲の声は私には聞こえなかった。