「雪花のこと、本当に好きなんだよな?」


『今さら何言ってるんだよ。当たり前だろ』


「”赤坂雪花”を、好きなんだよな?」


『…どういう意味だ?』


「そのまんまの意味だけど?」


『言ってる意味がわからない。それより雪花はどこだよ?一緒にいるのか?』


「いるよ。俺の隣に」


「きゃっ…!」


奏は私を自分のほうへ抱き寄せて、続ける。


『お前…何してるんだ?』


「…雪花の今日のワンピース、可愛いよな。
これさ、俺とデートしたときに一緒に選んで買ったやつなんだよ。知ってた?」


『…そうか』


「生地も肌触りがよくて、スカートもひらひらで…少し触っただけでめくれそうになる」


奏は私のスカートを撫でるように触る。
そして左足太ももに触れ、スカートの下に手を滑らせていく。

「ちょっと、奏…っ!やだ…」


『おい。雪花に触ってるのか?やめろ!』


「返してほしければ今から車飛ばしてこっちに来いよ。
ああ、無理か。先生は明日朝から仕事かー!
じゃあもう電車もないし、雪花は俺んち連れて帰るしかないかなー」


奏が挑発的な口調で電話に向かって話す。
私にはいたずらっ子のような表情を向けている。

完全にわざと挑発的なことを言って、先生を来させる作戦のようだ。


『…いまから行く。待ってろ』


先生はそう言うと電話を切った。