「冷えちゃったよな。もっと早く気づけば良かった、ごめんな。向こうに自動販売機があったから、何かあたたかい飲物買ってくるよ。ちょっと待ってて」
「うん、ありがとう」
そう言って先生は車の扉を閉めて、少し離れた場所にある自動販売機に向かって歩き始める。
その背中を見送ったあと、私は深い溜め息をつく。
ふう…
もやもやした気持ちが溜め息になって溢れる。
考えこんでも仕方ないか。
もうデートも終盤だし、楽しまなきゃ損だよね。
切り替えよう!
そう思い直して意気込んですぐ、鼻がむずむずしてくしゃみが出る。
やばい、ティッシュティッシュ…
自分の鞄を漁っても車の中の見える範囲にも見当たらなかったので、目の前のダッシュボードに手をかける。
この中にはあるかな?
あ、あった。
中に入っていたティッシュを箱ごと取り出すと、一緒に小さな紙がついてきてひらひらと足元に落ちていく。
何だろう?
手に取ってみると写真のようだった。
何の写真だろう。



