恋愛境界線


遅くなっちゃった。

図書館で勉強してから、隼人さんの家に行こうと思ったらつい寝落ちしちゃった。

もう外も日が落ちはじめている。
校舎にも人がいない。

最終下校時刻も過ぎていた。


「赤坂さん」


後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
この声は、小川先生の声だ。

「まだ残っていたの?もう最終下校時刻過ぎてるわよ」

「ごめんなさい、すぐ帰りますので」


あれ、小川先生、私のクラスの教科受け持ちもないのに、私の名前知ってるんだ。


「昼間、本郷先生と一緒に居たの、見られたかしら」

小川先生からの思わぬ質問に、私は足を止める。
もしかして、それを聞くために私に話しかけた?

「私と本郷先生、付き合いはじめたばっかりだから、ラブラブで学校でもつい会いたくなっちゃって。秘密にしておいてね」


なんだ。
やっぱり小川先生と付き合ってるんだ。

「そうなんですね。大丈夫ですよ、言いませんから。本郷先生、女子生徒のファンが多いですから、目の敵にされないよう、学校では控えた方がいいですよ」

「あら、ご忠告どうもありがとう」

なんで、私に付き合ってることをばらしたんだろう。
それに、何かいちいちつっかかってくる言いかたしてくるし、一体なんなの。

感じ悪いなあ。
さっさと立ち去りたい。