「最近暑くなってきたよねー」

しーちゃんが下敷きでパタパタと扇ぎながら、紙パックに入った紅茶を飲んでいる。

「日焼け止め塗っても結構焼けるよね。この前のテニスで焼けた気がするもん」

6月末の昼休み。
私は持参したお弁当を食べながら、しーちゃんと何気ない話をするのが日課である。

私はお母さんが作ってくれたお弁当、しーちゃんは食堂で買った焼きそばパンをほうばっている。

「私も超焼けた!
それにさうちの高校、エアコン効かなさすぎ!こんなんじゃ教室にいても熱中症なるわ!」

「ほんとそれ!」

そんなどうでもいい会話をしながらふと窓の外をみると、裏庭の人影に目が止まる。

あれ、先生…?

裏庭できょろきょろ見回す本郷先生だった。
何してるんだろう。

つい気になってじっと見ていると、
少しして誰かが本郷先生に駆け寄っていくのがみえた。

小川先生だった。

何か話をしている。
何を話しているんだろう。