「じゃあ…」

「兄貴と、うまくいってるのか」

私より先に、先生が言葉を切り出した。
出ていくタイミングを逃す。

「…そうですね。大事にしてくれてます。
…先生と大違い。」

自分勝手で、自分の気持ちを押しつけてばかりだった、先生とは全然違う。

本当に…。

「…そっか。それなら良かった」

チェーンを通しネックレスにした隼人さんからもらった指輪を、制服の上からぎゅっと握りしめる。




何だろう、この気持ち。

心がもやもやして、苦しいような複雑な感情。
晴れ渡っていた空に、急に暗雲が立ち込めていくよう。




先生とは、もう終わった。
私は、隼人さんのことが好き。


なのに。