「失礼します」
職員室の扉を開くと、がらんとしていて何故かひとりも先生が見当たらなかった。
何で誰もいないんだろう。
まあ、机の上に日誌置いといたらいいかな。
担任の机の上に日誌と提出しにきた旨のメモを残して、職員室を出ようとしたときだった。
扉に手をかけようとしたとき、先に扉が開いた。
「あ…」
向こうも同じような反応をした。
本郷先生は戸惑うような反応をして、すぐに目をそらした。
微妙な空気が私たちの間に流れる。
「職員室に用事か」
「…日誌を提出しにきました」
「ああ、山西先生か。いま会議でいないよ。…ていうか、誰もいないのか」
久しぶりの、先生との会話。
前はどんなふうに話していたっけ。
「職員室、不用心すぎですよ。鍵かけとかないと」
「そういうところ、うちの先生はゆるいな。気を付ける」
気まずい沈黙が流れる。
この空気、耐えられない。
はやく出ていこう。



