恋愛境界線

「今田さん、恥ずかしいからそのくらいにしてください」

背中の方から急に声がして振り向くと、
そこには処置中と思っていた隼人さんが立っていた。

「隼人さん?なんで…」

少し息が荒いから、走ってきたのだろうか。

「あら、急患は大丈夫だったんですか?」

「大したことはなかったので、さっき処置が終わって落ち着きました。
急な”お願い”を聞いていただき、ありがとうございました。
ここは俺が払います。雪花、行こう」

カフェの伝票を手にした隼人さんは、私の手を握ってレジのほうへ向かう。

「え、”お願い”って?どういうこと?」

「あとで全部話す」

今田さんの方を振り向くと、私たちに笑って手を振っていた。