南の島のかもめの恋



ある夜、ぼくは泣いた。


朝が来ても泣き続けた。


そして、気付いた。



ぼくは君に恋をしていた。



嘘偽りはない。


ぼくは君が好きだったんだ。


柔らかな白い毛、小さな体。


赤く済んだその瞳は、


ちっぽけで小さな世界を


寂しげに映しているようだった。


例え、君がいなくても、ぼくがいなくても、


この世界はずっと回り続けるだろう。


だけど、ぼくの世界は、


君がいて初めてそこに存在していた。


何も知らない、無垢な君に、


もっと色んなことを教えてあげたかった。


もっと色んな世界を見せてあげたかった。


楽しそうに話を聞いてくれる君の笑顔が、


もう一度見たかった。