南の島のかもめの恋



まだ飛べる、飛んでいける。


必死に翼を羽ばたかせるが、思い通りに動かない。


ぼくは何もできぬまま、海の底に沈んでいった。


真っ暗闇の海の底。もう、何も見えない。


感じられるのは、海水の冷たさだけ。


もう、ここまでか。


長いようで短い命だった。



ヤパパ。


君に会えてぼくは幸せだった。


海の上をさ迷って、ただ巣に戻るだけの日々。


そんな日々を変えてくれたのが、君だった。


君と初めて会ったあの時から、


毎日南の島に行くのが楽しみで仕方がなかったんだ。



でも、あの日、


君の願いで外の世界に連れ出してしまってから、


今までの全てが変わってしまった。



ねえ、ヤパパ。君の願いは間違っていなかったかい?


ぼくの行動は正しかったかい?








君は、今まで幸せだったのかい?