南の島のかもめの恋

南の島でしか生きられなかった君。


あの小さな"世界"でしか生きられなかった君。


そんな君はある日、外の世界を見てみたいと言い出した。


だから、ぼくは君をあの"世界"から連れ出して


島影の国へ連れていった。


ぼくは最初から知っていたのかもしれない。


それが、君の最初で最後の願いだったことを。


ある日、いつものように南の島を訪れたが、


君の姿はどこにもなかった。


ヤシの木の下、砂浜、岩の洞穴。


色んなところを探しても、君はいない。