そして次の日。


私は愛空と一緒に必要なものを整理して愛空の住むマンションに向かった。


本当は今日、千景くんのグッズ買いに行く予定だったんだけど……。


そんなの、いくら私の趣味を理解してくれている彼氏であっても言えない。


私は絶対にオタクが住んでいないであろう愛空のマンションに足を踏み入れた。


相変わらず部屋の中は綺麗で、とてもいい匂いがしている。


これがイケメン。


「部屋の中の物、好きに使ってくれていいから。何回か来てるし、どこに何があるか知ってるよね?」


「う、うん」


「どうしたの?緊張してる?」


「そりゃ、何度来ても場違いもはなはだしいって言うか……。私みたいな地味なオタクが足を踏み入れていい場所ではない気がして申し訳ないって感じで……」


「はいはい。光希の自己否定ごちそうさま。誰もそんなの気にしないって。オタクだろうがなんだろうが関係ない。場違いなわけないでしょ?」


そう言われても私は気にする。


でも愛空に言っても絶対に分かってくれないだろう。


諦めて私はソファーに座った。


「社員旅行、絶対に一緒に行動しようね」


「だからダメだって……」


「皆にバレたくないって光希の気持ちは分かってる。でも俺は光希と一緒に旅行に行ってるって実感したいの。別に皆が見てる場所で二人になろうとは思ってないよ」


「え?」


「俺が今まで光希と二人きりになるために、どれだけ色々考えて行動してると思ってるの?俺に任せて」


愛空は軽く私にキスをするとそのまま私の腰を抱いた。


こんなにも幸せな気持ちになってもいいんだろうか。


私を大事にしてくれる彼氏。


大好きで、毎日ずっと頭の中にいる人。


私は愛空の肩に頭を預けた。


今はそんな事、どうでもいいか。


これから大好きな人と一緒に暮らせるんだから。


この部屋の中だけでは我慢する必要も、周りの目を気にする事もないんだ。


「愛空、好き」


「……あのさ、なんでそんな可愛い事突然言い出すわけ?俺の心臓壊すつもりで言ってない?」


愛空はため息をつきながら笑った。


~Blue Star ブルースター~
『幸福な愛』