無情にもゲームが始まる。


最近話題の追いかけっこをテーマにしたオンラインゲーム。


彼氏を探し出して追いかけるなんて……。


ストーカーみたいでなんかちょっと嫌だな。


「光希はさ」


突然愛空がゲームを操作しながら口を開いた。


「いつも誰かに遠慮してて、それでいて自分の事を凄く下に見る。俺は光希を本気で可愛いって思ってるし、会社の人達にも彼女だって言いふらしたいくらい好きだよ。自己肯定感が低いのは光希の性格の問題だから直せなんて俺からは言えない。だけど、俺の事をもっと信じて頼ってほしい」


「し、信じてるよ……」


「それなら」


愛空は私の肩を引き寄せるといきなりキスをしてきた。


驚いてスマホを落としてしまう。


愛空は私にキスをした状態で私のスマホを奪って投降のボタンを押した。


私から離れると愛空は意地悪く笑った。


「な……っ、ずるい!」


「油断してた光希が悪い。素直に俺の提案受け入れないのも悪い。全部光希のせいだから」


そう言われて私は真っ赤になりながら口を押えた。


いきなりあんな事されるなんて……。


愛空は満足そうに微笑むと私の手を握った。


「これで俺と一緒に住むこと決定だね」


「……っ」


「嫌?」


「嫌じゃ、ない……っ」


「それなら何も問題ないよね。明日休みだし、明日から光希俺の家においで。それとも俺がこっち来ようか?」


私のこのオタク部屋に一緒に住む!?


そんなの愛空に申し訳ない!!


かと言って、私が愛空の住んでるオシャレなマンションに一緒に住む所なんて想像できないっていうか、世間の皆様に大変申し訳ない気持ちが浮かんでくる。


一体どうしたら……。


「光希?」


「え!?」


「どうしたの?さっきから百面相して」


「い、いや……」


私は考えた結果を口にした。


「……愛空の家に行く」


「分かった。じゃあ明日一緒に移動しよ」


「一緒に?」


「うん。だって俺、今日泊まるつもりだったし」


何を当然のように言ってるんだ、このイケメン。


私は驚きのあまり固まった。