「忘れ物が多い?」

「集中すると、何も聞こえなくなる?」

その質問に、私は嘘をつくことなく素直に答えました。そして、先生はこう言いました。

「あなたは、ADHDです」

それは、発達障害の一種だと先生は説明してくれました。そのあと、私の両親が呼ばれ、私は退室しました。

発達障害は、小学生のうちに見つかることが多いのですが、私の場合、注意力の欠如ということで発見が遅れたと父が言っていました。

薬を薬局でもらい、母が「よかったね、見つかって」と言っていました。

私はその時、「うん」と頷きました。自分のことがわかった、そう思いたかったのです。

しかし、私の心は思ったようには進んではくれませんでした。人と違う、自分は違う、そんな思いが私を支配していったのです。

ADHDのことを障害とマイナスなイメージでしかとらえないまま、私はマイナスな方向へ落ちていきました。