「あははは!本当、國井ってやばくない!?」

「本当!それでどうしたの!?」

あたし、道長 誉はその告白の翌日、屋上で不良仲間で友人の、茜と千夏との三人で昼食を摂っていた。

二人は面白可笑しそうに、腹を抱えながら笑っている。

「……一緒にラーメン食って、帰った」

「「ラーメンって!」」

茜と千夏は、腹を抱えながら涙を目に溜めながら笑い転げる。

「そんなに笑うなよ!そりゃあ、あたしだって好きな人と行くような場所じゃないのは分かってるよ!」

「じゃあ何で行ったのさ?」

それは……。

「……チャーシューが、美味そうだったから」

「いや、理由がもはや男!!」

「仕方ねぇだろ!昨日の昼、他校の奴にタイマン挑まれて、食いそびれたんだよ!」

笑いすぎて二人はもはや息も絶え絶えになり、地面を何回も殴っている。

そんなに面白いのか?

「しかし、あの喧嘩一本だった誉にも春が来るなんてねぇ」

「本当それな!しかも、相手は地味な眼鏡男子でしょ?」

悔しいが、何も返せない。

確かにそうなんだ。國井は牛乳瓶の底みたいな分厚い眼鏡をかけて、前髪も目を隠すレベルで長い。

典型的ないじめられても仕方ないほどの、地味な男なのだ。

「……何も言い返せねぇ……!!」

それに今までが喧嘩ばかりだったから、色恋沙汰なんてご無沙汰で。

まず、恋なんてしたことも無い。

好きになるって感情が、未だによく分かっていない。

だが、國井と出会って、「恋ってこういうことを言うんだ」って、本気でたしかに思ったのも事実で。

「……色恋沙汰って、めんどくせぇな」

「あり。誉、乙女してんじゃーん? 」

「してねーわ。いや、恋してるからもうしてんのか? 」