「そう、なんだ」



私は誰にも腐女子ということを言えなかった。


それなのに花音はお母さんにも話しているなんてちょっと羨ましいと思ってしまった。


「読むの?読まないの?」


花音はなかなか同人誌を受け取らない私に不機嫌そうに言った。


「あ、読むよ!」


別にBLに抵抗があるわけではないので受け取った。


「早く返してよ」


と眉間にしわを寄せ、少し低い声で言った。


「わ、わかった」


そんな花音に笑顔で返事をする。


花音はよくわからないところで不機嫌になる。


だから自分の中で花音に気を使っているところがある。