身代わり令嬢に終わらない口づけを

 レオンが入ってくると、気を利かせたのかソフィーをはじめメイドたちやお針子たちが入れ替わりに部屋から出て行った。二人きりになった部屋で、レオンが窓辺に座っていたローズに近づく。

「これでは見えぬではないか」

 不満げな声でレオンは言うと、ローズの止める間もなく、ひょい、とベールをあげてしまった。

「あっ!」

 うっかり見上げてしまったローズは、思いがけなく近い距離でレオンと目を合わせる。

 レオンが目を見開いて絶句した。