大きな赤い宝石は、ローズから見てもかなり高価なものだとわかる。まわりには色とりどりの小さな石がちりばめられており、豪華というよりはむやみに派手な首飾りだ。

 はっきり言って、ローズやベアトリスの趣味ではなかった。

 そしておそらく、レオンの趣味でもないような気がする。

 そこまで考えてローズは、深いため息をつくと、隣に立つレオンを見上げた。


「レオン様は、この首飾りを見てどう思われましたか?」

 思いがけない質問に、レオンが動揺するのがわかった。

「いや……綺麗、だと、思ったぞ」

 瞳を泳がせて応えたレオンに、ローズは一瞬躊躇したが、口を開いた。

(今後もこんなことを続けるなら、この方はお嬢様にあきれられてしまうわ)