(ああ……確かに、アレで喜んだことはなかったわね。せっかくの贈り物だったというのに)

 ソフィーに言われて、ローズは贈り物に籠められたレオンやこの館の人々の気持ちまでないがしろにしていたことに気づいた。

 きっと指示をしたレオンも指示されたソフィーたちも、受け取った時のローズの笑顔を見たかったに違いない。今まで用意する側だったローズは、その気持ちをよく知っている。

(そうよね。すべては、私を喜ばせようと思ってしたことだものね。レオン様にも、悪いことしちゃった)

 そして改めて、自分がここにきてからどれほど緊張のし通しだったのかも気づいた。

 身代わりがばれないことばかりに気を使って、他には何も見えていなかったことを。

(今の私はベアトリス様だもの。楽しいこと、嬉しいことの大好きな。そしてちょっと意地悪な。お嬢様の代わりを務めるなら、私もそうでないとね)