「何をです?」

「奥様があまりにお美しくて近寄りがたい雰囲気をお持ちでしたので、何か失敗したらお叱りを受けるのではないかと、メイドたちとずっと緊張していたのです。でも、今のお姿を見て安心しました。さすが公爵様は、よいご令嬢をお選びになったのですね」

 思わずローズは吹き出しそうになった。

 全く想像もしていなかった言葉ばかりを並べられて、ローズはどこから突っ込んでいいものか激しく迷う。

「ええと……そうなの?」

 結局、あいまいな答えしか返せないローズに、なぜかソフィーは嬉しそうに頷いた。

「はい。お菓子やお花の贈り物でも奥様の笑顔を見ることができなかったので、てっきり気難しいかたなのかと……あ」

 言い過ぎたと思ったのか、ソフィーはあわてて自分の口元を押さえて言葉を止めた。