身代わり令嬢に終わらない口づけを

(お菓子といいお花といい……これは一言言っておいた方がいいのかもしれない)

 そうでないと、次はなにでこの部屋を埋め尽くされるか分かったものじゃない。


「……レオン様は、今はどちらにいらっしゃいますでしょう」

 ローズが尋ねると、ソフィーは少し考えてから言った。

「先ほど館にもどられたようでしたので、おそらくご自分のお部屋に」

「お邪魔してもいいかしら。お花のお礼を言いたいので、案内をお願いします」

 ずるずると重い気分を引きずって、ローズは案内をするソフィーの後について行った。

 レオンの執務室は、本館の中でも離れのすぐ近くにあった。


 コンコン。


「レオン様、ベアトリス様がいらっしゃいました」