「今度……」

「はい?」

「……いや。なんでもない」

 それだけ言うと、館へと戻っていった。待っていた執事と表門の方へ向かっていくのに気づいて、ローズは軽く目を見開く。


「もしかして、どこかへ行く途中だったのかしら」

 だとしたら、わざわざローズと話をするためにこのガゼボに寄っていったのだ。

(見た目怖くてちょっととっつきにくいけど、思ったより悪い人じゃないのかもしれない。よかったですね、お嬢様)

 ローズの中では、ベアトリスの夫としてのレオンは、とりあえずは及第点だ。ただ。

(いろんなことの認識が、どうも私たちとずれているみたい。でも、一方的に決めつけて人の話を聞かないような堅物ではなさそう。あの方なら、お嬢様ともうまくやっていけるかも)

 垣間見たレオンの人柄にローズは安心と心配を忍ばせて、ベアトリスの新婚生活に想いをはせた。


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