館の中をふらふらとして誰か他の人たちに顔を合わせてもよくない。けれど、この場でこれ以上はもうお腹に詰め込むのは難しい。

(少し動けば、また入るようになるかしら)

 すぐそこの庭くらいなら、それほど使用人たちとも顔を合わせないで済むだろう。


「では、お願いします」

 お茶の用意をメイドに頼んで、ローズは部屋をでた。庭のガゼボまでは、別のメイドが案内してくれる。

「まあ」

 案内された庭を見て、思わずローズは声をあげた。


 そこには、色とりどりのコスモスが咲き乱れ甘い匂いを放っていた。その庭の真ん中にあるガゼボに、メイドたちが先ほどのお菓子とお茶を用意しているのが見える。

 テーブルに着くと、ローズはゆっくりとあたりを見回した。