(う、この焼き菓子も美味しい。この果物、初めて見るわ。せめてあのクリーむだけでも……でも、食べきれない……)

 手を出すのを躊躇していると、ローズの食事が終わったと思ったのか、メイドたちが皿を片付け始める。

「そちらはあとでいただきますので、そのまま置いていってください」

 ほとんど手つかずのデザートまでメイドたちが片付けようとしているのを見て、あわててローズは声をかけた。


 わざわざレオンの指示で出してくれたものだ。このまま下げてしまうのは失礼のような気がするし、何よりももったいない。

 一度食事として提供したものは、手がつけられていようといまいと下げられればすべて破棄されてしまうことをローズは知っていた。


「かしこまりました。今日は天気もよいことですし、よろしければお庭にお茶を用意いたしましょうか?」

「庭……」

 ちらりと、ローズは窓の外を見た。