「どこで……とは?」

「中庭のガゼボでもよろしいですし、みなさまとご一緒にホールでも結構です。それともまたこちらにお持ちいたしましょうか?」

 ローズは少し首をかしげて考える。

(いずれお嬢様と入れ替わるとなると、なるべくこの家の人とは顔を合わせない方がいいわね)

「まだ公爵様にもご挨拶をしておりませんので、正式に対面するまではこちらでいただきます」

 カーライル公爵、つまりレオンの父親は、息子の結婚の報告で王宮へ出向いているらしい。数日は向こうに滞在するらしいので、それまではレオンが当主の代わりを勤めている。


「かしこまりました」

 さらさらとメイドたちはよく動く。以前同じ立場だったローズには、ここのメイドたちの洗練された様子がよくわかった。

 使用人の質は、そのまま雇用主の質だ。まだ会ったことはないカーライル公爵に、ローズは今の時点ではかなりの好印象を持った。