そして何食わぬ顔で式を挙げるつもりで、叔父であり夫婦の証人となってくれる国王と、式をあげる教会側には予定通り結婚式を行う旨を連絡をしていた。カーライル公爵家に連絡をいれなかったのは、いたずら好きのハロルドが意図的にそうしたのだ。ハロルドは、結婚しました妻です、といきなり家に戻ってみんなを驚かすつもりだったらしい。

 それを知らない公爵がそのまま結婚の準備を続けたせいで、お互いに身代わりだったレオンとローズは振り回されることになり、ハロルドはレオンの八つ当たり気味の説教とベアトリスの怒りの張り手を受ける羽目になった。


「それより、ご兄弟なんですから、レオン様のお席は前の方なのではないですか」

 侍女という立場上、ローズは教会の一番後ろに控えていた。そのローズの隣に、なぜか親族であるレオンもずっと立っている。