身代わり令嬢に終わらない口づけを

(レオン、様……?)

 ローズは一瞬、薄闇に浮かんだその顔をレオンと見間違えてしまった。

(いやだ、私ったら。いくらレオン様で頭がいっぱいだからって)

 人の好さそうな青年だから、もしかしたらローズがレオンから逃げているものと思って助けてくれたのかもしれない。

「あの、私あの人から逃げていたわけでは……いえ、逃げてはいましたけど……ええと……」


「ローズ!」

 考え考え言ったローズの言葉の途中で、突然誰かが抱きついてきた。

「え……あ! ああっ!? ベアトリス様!!」

 にっこり笑ってローズに腕を廻しているのは、誰あろう、あれほどに探したベアトリス当人だった。