身代わり令嬢に終わらない口づけを

(何やってるの! 何やってるのよ、私!)

 やみくもに走り続けるローズの腕が、いきなり横から強く引っ張られた。

「きゃっ!!」

 そのまま路地の陰に引っ張り込まれて口元を塞がれる。

(誰?!)

「ベアトリス!」

 もがこうとしたローズの前をレオンが走り抜けていって、ローズはとっさに固まった。姿の見えないローズの後を、レオンはわき目もふらずに追いかけていく。


「ふう。行ったかな?」

 すると、若い男の声がした。どうやら、その声の主がローズを羽交い絞めにしているらしい。

「あ、ごめんね。痛くない?」

 男があっさりと手を離したのでローズはあわてて振り返る。