身代わり令嬢に終わらない口づけを

 今のレオンは、恐れを感じるほどにひたむきな顔をしていた。だからとても大事なことを言っていることはわかるのだが、ローズには話の意味がつかめない。

「家も、すべてもなくすことになっても、俺はお前を離したくない。だから、頼む。お前も……俺だけを、選んでくれ」

 ただ、切羽詰まったようなレオンの言葉に、ローズの心が不安でかき乱される。


「レオン様、一体、何を言って……」

 そのローズの頬に、レオンは、そ、と片手を添えて仰向かせる。大きな手の熱は、ローズを宥めるように暖かく力強い。そのまま、覆いかぶさるようにレオンの顔が近づいてくる。

(レオン様……)