身代わり令嬢に終わらない口づけを

「ちょっと休憩です。あの火は朝まで続くのですか?」

「俺も最後までいたことはないが、明け方まで踊る者もいるそうだ」

「綺麗ですね」

 ちらちらと舞い上がる炎の柱は今だ高く、その周りで踊る人々を黒い影に変えている。幻想的なその風景を、ローズはぼんやりと見つめていた。


「……方、が……」

 小さい声が聞きとれずに、ローズは問いかけるような視線をレオンに向ける。けだるげに木に背を預けたレオンが、微かに笑みを浮かべてローズを見下ろしていた。その姿に、ローズは小さく息を飲む。

(レオン様って、こんなに色っぽい方だっけ……)

「……と、言ったんだ」

「あの、聞こえません。もう一度……」

「お前の方が綺麗だ、と言ったんだ」

「え……」

 とっさに何も言い返すことができずに、ローズは固まった。そんなローズを見下ろすレオンの目が、何かを決意するようにきつくなる。