身代わり令嬢に終わらない口づけを

ほ、としたローズの顔を心配そうにうかがって、レオンが聞いた。

「もう帰るか?」

「いえ、せっかくですもの。私たちも踊ってきましょうよ!」

 ローズは、目を丸くしたレオンの手を引いて広場へと踏み出した。

「俺は……」

「みんなもあんなに楽しそうじゃないですか。一緒に踊りましょう」

 戸惑っていたレオンだが、ふいに肩の力を抜いて、ふ、と笑った。

「どうせ、お前と共にいられる最後の夜だしな」


「レオン様、何か言いましたか? 周りがうるさくて声が……」

「いや、なんでもない」

 レオンは、引かれていたローズの手を持ち直すと、上品に腰を曲げてローズに向かって貴族の礼をとる。