身代わり令嬢に終わらない口づけを

 ローズにかけられた声に、レオンは、はにかんだように笑った。

「もし……もし、機会があれば、また、共に音を合わせてくれるか?」

「はい、もちろん。喜んで」 

 ローズが笑って答えると、レオンも嬉しそうに笑った。けれど、その笑顔に先ほどから一抹の寂しさが含まれることが、ローズは気になっていた。

(どうしたのかしら……?)

「ああ、ちょうど火がつけられたところだ」

 人ごみをかき分けて進んでいくと、広場の中央にはたくさんのかかしが集められていた。その端の方にたいまつを近づけると、わらでできたかかしにはあっという間に火がまわっていく。まわりを取り囲んでそれを見ていた人々から歓声があがると同時に、誰からともなく手に手をとって踊り始めた。自然にそれは、一つの大きな輪になっていく。